2011年3月17日木曜日

≪書評≫コトラーのマーケティング3.0

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コトラーのマーケティング3.0 ソーシャル・メディア時代の新法則
フィリップ・コトラー ヘルマワン・カルタジャヤ イワン・セティアワン
朝日新聞出版
売り上げランキング: 2441


この本も読んでおくべき本だと思います。

まず、マーケティング3.0とは何かについては、
下記を引用します。

過去六十年の間に、マーケティングは製品中心の考え方(マーケティング1.0)から消費者中心の考え方(マーケティング2.0)に移行してきた。(中略)企業は製品から消費者に、さらには人類全体の問題へと関心を広げてきている。マーケティング3.0とは、企業が消費者中心の考え方から人間中心の考え方に移行し、収益性と企業の社会的責任がうまく両立する段階である。

正直、マーケティング2.0の話だけでも
読む価値のある本になりそうですが、
そこを一気に3.0の話にしているところは
さすが「コトラー先生」という感じです。

マーケティング1.0とは、
つまり製品中心の考え方で、
マーケティングモデルとしては、
4P(Product, Price, place, promotion)がそれにあたり、
この本では「戦術的」と表現されています。

マーケティング2.0とは、
つまり顧客中心の考え方で、
マーケティングモデルとしては、
STP(セグメンテーション、ターゲティング、ポジショニング)
がそれにあたります。
この本では「戦略的」と表現されています。

そして、それがマーケティング3.0として
どう進化するのかがこの本には書かれています。

この本の中に、
3iモデル」と呼ばれるものが出てきます。
3iモデルとは、
brand identity, brand integrity, brand imageで
構成されています。
インテグリティ(integrity)は、
「完全性」と訳されています。

マーケティングの最終形態は、アイデンティティ、インテグリティ、イメージの三つがうまくバランスのとれたものになる。マーケティングとは、ブランドのユニークなアイデンティティを明確化し、本物のインテグリティで強化して、強力なイメージを築くことなのだ。

さらに著者は、
普通でないビジネス(創造)
人びとを感動させるストーリー(普及)
消費者エンパワーメント(実現)
の3つが重要だと主張しています。

現代において「普通でないビジネス」を創造することは
かなり難しいことだと思いますが、
「人びとを感動させるストーリー」を考え、
消費者エンパワーメント、
つまり、消費者に力を与えること(消費者の参加)を
どうやって実現するかを考えることが、
私たち広告会社の役割だと理解しました。

ストーリーの重要性は、
いろんな本でも書かれていますが、
最後にもう一つ引用します。

高名な脚本家、ロバート・マッキーによれば、人びとを納得させるには二つの方法がある。ひとつは事実や数字に基づいて考えをまとめ、人びとを知的な論議に引き込むこと。もうひとつは、それらの考えを軸に感動的なストーリーをつくって人びとの感情をつかむことで、二つ目のほうがはるかに効果的だとマッキーは言う。

ドッグイヤーは本の前半にかたまりましたが、
読んでおくべき本だと思います。

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