2011年4月9日土曜日

≪書評≫キズナのマーケティング 池田紀行(@ikedanoriyuki)

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キズナのマーケティング ソーシャルメディアが切り拓くマーケティング新時代 (アスキー新書)
池田 紀行
アスキー・メディアワークス
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まず最初に、
この本、必読です」。

一年くらい前に出た本ですが、
正直にいうと、
僕がこの本を読んだ理由は、
手持ちの本がなくなって、
たまたま行った小さな本屋に、
他に読みたいと思う本がなかったからです。

ソーシャルメディアを取り巻く環境って、
この一年で大きく変わってきているので、
一年前の本を読むのは抵抗がありましたが、
ある意味「仕方なく」この本を読みました。
しかしその結果は、見事に裏切られました。
(もちろんいい意味で)

著者は、トライバルメディアハウスの社長、
池田紀行さんです。

まず最初に感じたのは、
著者がものごく、
広告主の温度感を理解されているということ。
社長なので、クライアントと接することなんて
あんまり多くないんじゃないかと勝手に思ってましたが、
この本で書かれている広告主の描写は、
「そうそう!」とか「あるある!」がいっぱいで、
一年経った今もたいして変わってないなと思いました。
(正確にいうと、「我々広告会社が変えれてない」かも。)

この本を読んで、
個人的に強く「なるほど!」と思ったのは、
「ソーシャルメディアマーケティングのポジショニング」
と「ソーシャルメディアマーケティングの分類」です。

ソーシャルメディアマーケティングのポジショニング
については、コミュニケーション手法の
ポジショニングマップが書かれており、
縦軸に「認知(上)」と「関係性(下)」、
横軸に「今日の売上づくり(左)」と「明日の売上づくり(右)」
がおかれています。

今日の売上づくりとは、
顕在顧客の刈り取りのことで、
明日の売上づくりとは、
潜在顧客の育成のことです。

まず、
一番上に横たわっているのが、
「マス4媒体/OOH広告」です。
同じく、上にあり(つまり認知獲得が目的)、
今日の売上づくりに位置するのが、
ポータル系バナー広告などで、
明日の売上づくりに位置するのが、
マスのブランディング広告や戦略PRです。

逆に、左下にあるもの
つまり、顧客との関係性構築と、
今日の売上づくりを目的としているものは、
人的SalesやCRM、行動ターゲティングなどです。

そして、ポイントは、
右下(関係性×明日の売上づくり)が
空白地帯になっているということ。
つまり、この領域を埋めるのが、
ソーシャルメディアマーケティングということです。

さらに重要なのは、下記。
(ソーシャルメディアマーケティングは)他の事象に位置している手法を代替するものでもなければ、ソーシャルメディアマーケティングだけですべてが解決するものでもないのである。

ソーシャルメディアマーケティングの分類
について著者は、
ソーシャルメディアマーケティングを
バズ・バイラル型」と「アドボカシー型
の2つに分けて解説しています。

「バズ・バイラル型」は、
クチコミによる短期的な話題化が目的で、
「アドボカシー型」は、
中長期的な関係性づくりが目的です。

頭の中ではなんとなくわかっていたと思いますが、
この2つが一緒くたになって
「ソーシャル」「ソーシャル」と言っている
広告主や広告会社の人も少なくないと思います。

ここは明確に分けて考えないと、
オリエンをするにしても、
企画を考えるにしても、
混乱するもとになっている気がします。

長くなってしまいましたが、
この本はお勧めです。
ドッグイヤーだらけでした。

もう一つ、教訓は、
少し古い本でも、良書は読むべきだ、
ということです。

タイミングを逃して読めてなかった、
グランズウェル ソーシャルテクノロジーによる企業戦略 (Harvard Business School Press)
とか
ツイッターノミクス TwitterNomics
とかも読んでおこうと思います。

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