2012年2月12日日曜日

孫正義に未来を学び、佐野眞一に歴史を学ぶ。(『あんぽん 孫正義伝』を読んで)

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あんぽん 孫正義伝
あんぽん 孫正義伝
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佐野 眞一
小学館
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ノンフィクション作家の佐野眞一さんが
書いた孫正義伝。

著者自ら、
「孫正義をテーマにしてこれまで書かれた
どんな本より、本書は百倍は面白い」
と豪語するだけあって、
かなり読み応えのある本でした。

何よりも、この著者の取材力は、
「凄まじい」の一言です。
「孫正義伝」でありながら、
そこに書かれていることの半分以上は、
孫さん本人も知らなかった事実ばかり。
孫さんもすごい人ですが、
この著者の「プロの技」には脱帽です。

孫家三代にわたるこの“物語”は、
途中でノンフィクションであることを忘れてしまうほど
強烈な出来事の連続で、
分厚い本ですが、どんどん読み進めたくなる
一冊だと思います。

個人的には、この本の面白さは、
孫さんと著者佐野さんが、
非常に対照的である点だと思います。

常に「未来」を語る孫さんと、
これでもかと「歴史」を紐解く著者。

まさに両極にいる二人の個性が、
読んでいて非常に興味深い限りです。

自分もこれまではどちらかというと、
歴史を軽んじてしまう傾向があったように感じますが、
この著者の言葉には、そういった自分の態度を
改めようと思わせる力があります。

飛躍的な技術革新を目の当たりにしたとき、
それに子どものように疑いなく飛びつくのではなく、
一度立ち止まり、その技術が生まれてきた
歴史の背景について、じっくり
考えをめぐらせなければならない。
そうした真摯な態度を忘れたとき、
人間は過去を葬り去る愚を犯すだけでなく、
本当の未来を見失う愚も犯す。

過去に固執し、
既存の枠から抜け出せないような生き方は嫌ですが、
歴史から学ぶことが多いのは事実だと思います。


その他、個人的に印象に残っているのは、
孫さんが言ったというこんな一言です。

「自分は記憶力や知識には自信がないけど、
考える力では誰にも負けない」

ちなみに、孫さんは、
日本ソフトバンクを設立した後、
3年半の長期入院を余儀なくされたのですが、
その時に、三千冊以上もの本を読んだそうです。

「知識」+「考える力」

当たり前ですが、
それに勝るものは無いのだと感じました。


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