2011年8月15日月曜日

企業コミュニティは「継続利用」と「新規顧客」をもたらす(『ソーシャルメディア進化論』を読んで)

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ソーシャルメディア進化論
武田隆
ダイヤモンド社
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ロイヤルティリーダーに学ぶ ソーシャルメディア戦略」という本を読んで以来、
「顧客ロイヤルティ」という考え方に注目しています。

顧客ロイヤルティを向上させることで、
「購買価値」「口コミ価値」「情報価値」という
3つの経済的価値をアップさせることができる
ということを学んだわけですが、
「じゃあ、どうやって顧客ロイヤルティをアップさせるの?」
という部分には若干の疑問が残っていました。
(この本についてのブログ記事はこちら

そんな中、この「ソーシャルメディア進化論」を読んで、
そのひとつの解は、「企業コミュニティ」にあるのではないか、
と思うようになりました。

企業コミュニティをつくるということは、つまり、
「企業と顧客が価値観で共鳴し合う関係構築の場」
をつくるということだ。

電通のが提唱するソーシャルメディア時代の
消費行動モデル「SIPS」では、
これまでの広告モデルのような
「Attention(注意)」から始まるのではなく、
「Sympathize(共感)」「Partipate(参加)」
キーワードとして注目されています。

企業コミュニティも、まさにこの、
「共感」とか「参加」というものの上に
成り立つものであります。

企業と消費者の距離はどんどん遠くなる。
その一方で、
インターネットやソーシャルメディアの発達により、
その距離を縮めることは、
これまでになく容易になった、ともいえます。


そんな中、うまく企業コミュニティを活用することで、
どんな効果が得られるのでしょうか?

この本では、以下のように書かれています。

企業コミュニティは、参加者の帰属意識を高める。
帰属意識の向上は、購入頻度を高めることで
既存顧客のLTVを向上させる。

さらに、効果はそれだけでなく、

交流量が増えると閲覧量も増えるという関係は、
既存顧客の帰属意識の向上が、
新規顧客の獲得につながる可能性を示唆する。
なぜなら、既存顧客の活性が企業コミュニティの交流量を増加させ、
それが閲覧者(=新規顧客の候補)を増加させているからだ。

ということです。

つまり、
企業コミュニティが活性化するということは、

①既存顧客の帰属意識(ロイヤルティ)がアップし、
継続利用(LTVの向上)が期待できる。
②コミュニティ内での交流量(サイト上のコンテンツ量)が
増加すると、検索サイト経由で新規顧客の候補が
サイトに来訪する確率が上がる
※当然、帰属意識が高い既存顧客の声に触れるわけなので、
購買に結びつく可能性も高い。

ということです。

この本では指摘されていませんが、
②については、検索サイト経由だけではなく、
「いいね!」ボタンや「ツイート」ボタンをうまく活用することで、
ソーシャルメディア経由でも、
新規顧客の候補が集まってくる可能性は高くなります。

これについては、ユニクロのUNIQLOOKSが
最もいい事例ではないかと思います。

その他、この本には、
・企業コミュニティを活性化させるポイント
(「交流量×感謝量」、「サポーターの存在」など)
・企業コミュニティを自社サイトや広告、PRに転用する
・企業コミュニティをリサーチの手段として活用する
(最近話題になりつつあるMROC)
など、興味深い内容が多くあります。


最後に、この本のタイトルに関して。

「ソーシャルメディア進化論」というタイトルは、
いかにもありがちな「ソーシャルメディア本」的で、
購入するのを躊躇ってしまいましたが、
この本の「謝辞」の部分を読むと、
このタイトルは、梅田望夫さんの
ウェブ進化論 本当の大変化はこれから始まる (ちくま新書)
へのリスペクトが込められている、ということがわかります。

いや、それにしても、
別のタイトルの方が良かったような…。

とはいえ、お勧めの一冊です。


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