2011年12月18日日曜日

「明日のコミュニケーション」と「R3コミュニケーション」に共通する5つの主張

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明日のコミュニケーション 「関与する生活者」に愛される方法 (アスキー新書)
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R3コミュニケーション―消費者との「協働」による新しいコミュニケーションの可能性
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明日の広告の著者であり、
元電通社員の佐藤 尚之さんの新刊
「明日のコミュニケーション」と、
ADKと早稲田の恩藏教授による共著
「R3コミュニケーション」を
立て続けに読んでみました。

前者の本のベースとなっているのは、
少し前に電通が発表した、
ソーシャルメディア時代の
生活者行動モデル「SIPS」です。

S:(Sympathize : 共感する)  
I:(Identify : 確認する)
P:(Participate : 参加する)
S:(Share & Spread : 共有・拡散する)

後者の本は、タイトルの通り、
ADKが最近提唱している、
コミュニケーションプランニングの考え方
「R3」について書かれてあります。

R:(Relevance:ブランドの自分事化)
R:(Reputation:ブランドの評判化)
R:(Relationship:ブランドのパートナー化)

それらの理論をここで細かく解説するつもりはありませんので、
詳しくは本を読んでいただきたいのですが、
敢えて誤解を恐れずに言うと(怒られるかもしれませんが)、
どちらも本質的には同じことを言っている
ように感じました。


非常に大雑把にまとめると、
要点は以下の5つだと思います。


①ロイヤルカスタマーの重要性

個人的にも、
ロイヤルティリーダーに学ぶ ソーシャルメディア戦略」を読んで以来、
今年最も注目してきたテーマですが、
ブログにも書いた通り、
ロイヤルカスタマーが果たす役割は、
以前よりも増して非常に大きくなっています。
(詳しくは上記の本がお勧めです)

そのことについて、
明日のコミュニケーション(SIPS)では、
「関与する生活者」や「エバンジェリスト」
などという言葉で書かれていますし、
R3コミュニケーションでは、
「Supporter(サポーター)」という言葉で表現し、
解説されています。

使う言葉は違えど、
どちらも本質的には同じことを言っているように感じます。


②ロイヤルカスタマーとの長期的な関係構築

では、そのロイヤルカスタマーを育てるために、
企業はどうしていけばよいのか。
そのポイントを一言で言うと、
「長期的な関係を構築する」ということになります。

これを、明日のコミュニケーションでは、
「ロング・エンゲージメント」と呼んでいますし、
R3コミュニケーションでは、
R3のひとつ、「Relationship」と呼んでいます。


③ロイヤルカスタマーのクチコミ効果

ロイヤルカスタマーを育てることが重要である
理由の一つは、彼らの推奨行為が、
大きなクチコミ効果を生むことにあります。

そのことについて、
明日のコミュニケーションでは、
「ハイパークチコミ」と呼んでいますし、
R3コミュニケーションでは、
R3のひとつ、「Reputation」と呼んでいます。


④自分事化できるコミュニケーション

また、現代のコミュニケーションを語る上で、
非常に重要なポイントは、
伝わる情報の質が変化してきたということです。

これまでの「アテンション型」のコミュニケーションでは、
多くの情報の中に埋もれてしまい、
生活者に届かなくなってしまいました。

今必要とされているのは、
自分事化できるコミュニケーションだと言えます。

そのことを、
明日のコミュニケーションでは、
「共感」をキーワードに解説してあり、
R3コミュニケーションでは、
R3のひとつ、「Relevance」という言葉で表現しています。


⑤ソーシャルメディアの成長

そして、
「ロイヤルカスタマーの重要性」が増したのも、
「ロイヤルカスタマーとの長期的な関係構築」が可能になったのも、
「ロイヤルカスタマーのクチコミ効果」が増大したのも、
「自分事化できるコミュニケーション」の
必要性が叫ばれるようになったのも、
言わずもがな、ソーシャルメディアの成長が
大きく起因していることであり、
どちらの本でも、そのソーシャルメディアの
重要性については多く語られています。


こうして考えると、
①ロイヤルカスタマーの重要性
②ロイヤルカスタマーとの長期的な関係構築
③ロイヤルカスタマーのクチコミ効果
④自分事化できるコミュニケーション
⑤ソーシャルメディアの成長
この5つのテーマが、
いずれも2011年のマーケティングコミュニケーションにおいて、
非常に重要なテーマだったんだなぁと、
今年1年を振り返ることもできます。


ちなみに、「R3コミュニケーション」の
最後の章の「R3スケールによる効果測定」は
非常に興味深かったです。

以下、本文より引用。
マーケティングにおいては、
ドラッカー(1993)も言うように
「測定できないものは管理できない
("you can't manage what you can't measure")」
という原則があり、
測定可能な指標を持たない限り
その効果は絵に描いた餅のままで終わってしまう。

もうすぐ年末なので、
個人的な来年の目標を立てる時も、
「測定可能な」目標を立てたいと思います。

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